2022/03/31

~ ”ひとりで悩まないで ”の一言を ~ 『松林カウンセリングルーム』より

悩める来訪者に寄り添い一緒に解決の道を開いてゆく松林氏

 特派員レポートをこれまでご愛読いただきました皆様ありがとうございました。
私の担当も今回が最終章になりました。
この間の一番の出来事は新型コロナウイルスによるパンデミックが発生した事でした。
この現象は単に身体の健康が脅かされているだけでなく、今日の日本社会の様々な歪が如実に露呈されてきていることに大きな意味があるように思います。

我々シニア世代の者は終戦後の経済復興の先兵として馬車馬のように働き、そのお陰で日本は物質的には豊かな生活を享受できるようになるまで復興しました。
しかし、今日テレビを見ても新聞を広げても毎日のように、家庭内でのDV(ドメスティックバイオレンス)・虐待・近親者殺人。職場や学校等での陰湿ないじめがあります。社会に出れば無差別殺人等々もあり、「誰でもいいから一度殺してみたかった」とのある殺人犯のコメントには日本の狂気が凝縮されているように思います。

日本全体の自殺者が、毎年2万人以上あり、かつて13年続いた3万人からは少し減少しましたが、自殺未遂者はその10倍~15倍に上ると言われ、又過労死者も毎年100人前後もあり、うつ病患者も毎年40万人~50万人とも言われております。
そんな中で、全国共通ダイヤル(#8008)でのDVの相談件数(内閣府集計の相談件数)が2020年には19万0030件(521件/日)《前年比1.6倍》にものぼり、毎年約100人以上がパートナーや恋人に殺されています。更にDVからの影響もあり、児童虐待件数(児童相談所の対応件数・厚生労働省報告)も、2020年 には20万5029件(562件/日)を数え、虐待で死亡した子供の数は毎年50人を超えているとの報告もあります。〔以上の数値は後述する松林三樹夫氏の講演資料より抜粋〕

“愛”の実践とは○○相手となり○○しあうことです

今、我々シニア世代がなさねばならぬ一つの課題が、この“荒んだ日本人の心にどう潤いを取り戻すか”ということではないでしょうか。
このテーマに沿って日々活躍されているのが、藤枝市で『松林カウンセリングルーム』を開設し、家族関係・人間関係・生き方・DV・性・子育て・子ども虐待・ひきこもり・親への暴力など心の悩み全般のカウンセリングを行っている、心理カウンセラーの松林三樹夫氏(70歳)です。
元々中学校の社会科教諭として生徒たちに慕われ、悩み相談もしていましたが「問題行動を起こす子どもの背景には必ず家庭の事情が絡んでいた。いくら正論を言っても、心にある深い傷を解決しなければ指導が入っていかない」「教諭としての立場では子どもたちや悩める親たちになかなか寄り添えない」との思いから、カウンセラーの資格を取り定年を待たずに53歳で退職し、カウンセリングルームを2006年に開設し現在に至っておられます。

豊富な実例を交えたDV問題の手引書

その間に対応した相談内容から、特にDVに関する様々なケースを取り上げた『立ち直りへの道 DV加害者カウンセリングの試み』(エイデル研究所)を出版されました。
「DV加害者はその成長期に自分自身がDVの被害者であったケースも多く、自分が加害者である認識も薄く、繰り返し行う傾向が強い。被害者と同じ数だけの加害者がいる。“加害者は変わらない”からと放置したままにしておくのは、猛獣を野に放ったままにしておくのと同じ。それではDVの被害者は一向に減らない。DV問題の解決のためには加害者の更生こそ必要」と記されて、カウンセリングに『DV加害者更生プログラム』を取り入れDV加害者の更生に尽力されている。その様子がNHK「クローズアップ現代+」でも放映されました。

又、松林氏は個々人へのカウンセリングの他に、静岡県等で“男性電話相談員”を担当されたり、現実社会の問題点をもっと多くの人に知って欲しいと積極的な講演活動も続けておられます。

“真の性教育の遅れ”が性被害者を増加させている

例えば、県下の中学校や高等学校での出前講座では「思春期の生と性」「デートDVを防ぐために~対等な関係を求めて~」等のテーマで性の大切さを説き、性暴力の加害者にも被害者にもならない指導をされたり、我々シニア世代には「高齢期のより良い生き方を考える」という話をされたり、更に行政や教育の専門分野で活躍されている方を対象に「 DV加害者カウンセリングから見えてくるもの」等のテーマで「被害者支援も緊急の課題だが、加害者がDV・虐待行動をやめなければ被害は減らない。加害者の更生の必要性にも目を向けて」と訴える講演もされています。
又、去る2月28日には日本産業カウンセラー協会静岡支部の主催によるZOOM講演で、これからカウンセラーを目指す人たちに向けての講演をされ、筆者も取材者として拝聴させて頂きました。
この中でカウンセリングを学び始めた動機や、なぜ今カウンセリングが必要なのか等、実例を交え優しく解説されました。最後に語られた「カウンセラーたるもの、常に清貧であれ」とのメッセージに感動を覚えました。これはカウンセラーを目指す方だけへのメッセージではなく“なにか”を忘れかけている全ての日本人へのメッセージだったように感じました。

ひとりで悩まないで一歩前へ・・

一昔前までの“男らしさ”“女らしさ”の縛り、特に “男たるもの泣いてはいかん、他人に弱みを見せるな、軽々しく他人に相談するな”等々の古い因習の中で“人間らしさ”を失い、最愛の家族を傷つけ、自らも精神を病み、取り返しのつかない状況に陥っていくという人たちが増えています。そして罪のない多くの子どもたちがその犠牲になっています。
誰もがもっと早く、問題が重大化する前に“誰かに”“何処かに” 気楽に相談する事が当たり前な社会になって欲しいものです。

電話での相談にも丁寧に対応される松林氏

『松林カウンセリングルーム』等のカウンセラーや心療内科医師への相談。又、県や市町の行政機関には分野ごとに相談窓口を設けています。
特筆すべき窓口として、男性の相談者に対しては男性相談員のみが(メンズほっとライン静岡 等)女性の相談者に対しては女性相談員のみが(女性のための電話相談 等)相談に応じる窓口があります。
又、近年増加している性被害に対しては、静岡県性暴力被害者支援センター・SORA(そら)が直通で、専門的な研修を受けた女性相談員がお話を伺い、様々な機関と連携し、性被害者を支えています。
■メンズほっとライン静岡:電話054-274-0105 毎週第2・4火曜日19:00~21:00
■女性のための電話相談:電話054-272-7879 毎週火・水・金曜日10:00~20:00 他
■SORA(そら):相談専用電話054-255-8710   24時間365日対応
インターネット相談「SORAチャット」https://sorachat.jp
その他、静岡県ホームページのトップ画面左側に『各種相談窓口一覧』の表記があり
クリックすると簡単に問い合わせ先を検索できます。
■HP:https://www.pref.shizuoka.jp/kikaku/ki-120/soudan-madoguchi.html
又、電話 054-221-2292(ふじのくに)に直接お問い合わせください。

シニア世代の皆さん、人生の大先輩として次の世代の方々に是非お伝え下さい。
「もし貴方の周りのご家族や知人の方で、“何かいつもと様子が違うな”と感じた時は『一人で悩まないで気楽に相談してみたら』と、ひと言声を掛けてあげてください」と。

今この一刻、地球上のあちらこちらで争いごとや災害が絶えません。
せめて貴方の身近な家族や職場、そして地域のみなさんの穏やかな日常が、いつまでも続くことを願ってやみません。 合掌


◆松林カウンセリングルーム
 代表 松林三樹夫  電話054(635)8587



関連リンク: 松林カウンセリングルーム

取  材:生きがい特派員  宮島克実(中部地域担当)

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