2021/12/02

歴史や旅の楽しみを広げる活動をしている「静岡史跡を訪ねる会」

1 「静岡史跡を訪ねる会」の紹介

「静岡史跡を訪ねる会」が発足したのが昭和50年(1975)2月で、約46年経過していることになります。年により会員数に多少の増減はありますが、現在男女合わせて三十数名でやや女性が多いとのことです。年齢は発足当時には20代や30代の若者がほとんどを占めていましたが、現在は人口の高齢化を反映してか60代と70代になっています。でも発足当時の会員が数名残っていて、会の運営など中心的役割を果たしていて熱意と意欲を感じます。
 例会は毎月第二土曜日13時から、静岡市生涯学習センター(アイセル21)で行われていて、バスなどによる見学会は参加者の実費負担で毎月第4日曜日に日帰りでマイクロバスにより巡っています。会の代表の小林久太郎さん(78歳)によると、「日帰りの見学会だけの参加でもかまいません。史跡に興味がなくても、旅の好きな方には満足がいくのではないでしょうか」と述べていました。また、「年会費4,000円はかかりますが、お仲間に入っていただくことをいつでも歓迎しています」とのことでした。その日の案内役の会員によりますと、「名所と言われる所は何回訪ねても新鮮な味わいがあります。旅や歴史の趣味が、ややもすれば単調になりがちな生活を豊かにしてくれています」と恩恵を話してくれました。

2 梅蔭禅寺(清水次郎長像)

ここからは令和3年11月28日(日)に行われたバス見学会の模様をご案内します。
 静岡市清水区にある梅蔭禅寺は、清水次郎長の菩提寺でもあります。 「静岡史跡を訪ねる会」の会員15名がマイクロバスで見学に訪れた時には、同じくらいの規模のグループも訪れていて、やはり目的は清水次郎長に関連するものを見ることにあるようでした。
 特に印象に残ったのは、弁財天の堂宇がお寺の建物らしからぬ明るい色の外壁で仕上げられていたことです。それに、会員の方が、「次郎長の3人のおかみさんの像があるけど、3躯体とも上半身の一部をだして、艶めかしい恰好だ」と言うのでのぞいて見たところ正にそういう姿であった。弁財天は一般的に持っているお金を洗うと増えるとか言われて財宝の神様であることは知っていましたが、美の神様でもあることを初めて知りました。

3 清水次郎長生家

この建物は江戸末期のものの価値を残しながら、間取りも創建当初に近い形で平成29年に改築したものです。生家の修復には、「NPO法人次郎長生家を活かすまちづくり会」が当たりました。次郎長生家は清水港にあり、港と次郎長関連施設をつなげて清水の活性化を図ることが要請され、次郎長生家の改築につながったと言えます。見学会参加者の多くは一度や二度ここを訪れているようでしたが、皆さん内装や展示品などの充実ぶりに驚いていました。
 明治維新は、次郎長が48歳の時でした。この明治維新を境にして、次郎長は変貌を遂げたと言えます。文政3年(1820)に生まれ、子ども時代は地域の問題児であり「悪ガキ」と呼ばれていました。その後、地道に家業にいそしんだ時期はありましたが、一転任侠を志し「渡世人」として海道一の大親分として明治維新を迎えることになります。明治となると山岡鉄舟との交流もあり、清水湊を国際港にするために奔走し、国際的人間づくりを目指して英語塾を開いたり、富士山の開拓など「地域貢献」に邁進し74歳の生涯を閉じています。

4 壮士の墓

この墓石の「壮士墓」の揮毫(きごう)は、山岡鉄舟によるものです。この墓には、咸臨丸事件で新政府軍によって殺された幕府軍の遺体が葬られています。「触れる者は同じ逆賊とみなす」という新政府軍の命令を恐れて手を出せず、遺体が浮いていたところを、次郎長が「仏には賊軍も官軍もない」とお咎めを恐れず遺体を海から引上げてこの墓地に埋葬したのです。
 この事件により、清水次郎長が「任侠」を乗り超えて世に出るきっかけを作ったものであり、山岡鉄舟に感銘を与えたことにより、鉄舟の感化影響もあり社会貢献を歩む弾みにもなったと想像されます。
この墓地からは、凄惨な状況よりもむしろ、次郎長が生き抜いて散った人々に対するいたわりのようなものを抱いていた意思を見学会参加者も感じている様でした。

5 富士山のビュースポット 日本平夢テラス

富士山の眺望が素晴らしい日本平夢テラスは令和3年11月3日でオープン3周年を迎えました。夢テラスは館の部分と回廊の部分のジョイントで構成されています。静岡県と静岡市が共同で建造した構築物でして、予想を上回る人気があります。日本平夢テラスができるまでは、ただ吟望台で富士山を眺めるだけで、久能山東照宮に行くための中継地点にすぎませんでしたが、今では日本平夢テラスに来ることが目的の観光客が増えています。そのことは数字の上にも出ていまして、令和3年11月12日に200万人を達成しました。バスツアーに参加した会員のすべては、静岡市内に住んでいるので富士山は珍しい存在ではありませんが、ここからの眺めは格別であったと感激していました。
「静岡史跡を訪ねる会」の特徴は、名所や旧跡など文化的・歴史的なところを訪ね歩きながら見聞を広めることにあります。さらに、会員相互の親睦を深めることにもなり、訪ねることは身体を動かすことにもなり健康にもいいですし、古の人や物に触れることによって感化されて生きがいにも通じると考えます。

お問い合わせ:静岡史跡を訪ねる会
       代表 小林 久太郎 054-278-8510


取  材:生きがい特派員  早川 和男(中部地域担当)

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