2021/11/02

「はつらつ生きがい講座」の一環 歴史散歩(駿府城公園及びその周辺)

1 集合場所(駿府城東御門とシズウエルに分散)

しずおか健康長寿財団が主催して、10月26日(火)に歴史散歩 身近なところに歴史が ~駅集合の近距離ウォーク~ が駿府城公園及びその周辺のコースで実施されました。秋晴れにも恵まれ、歩くのに最適な気候でした。参加されたお客様は県東部の方を中心に55名が御参加くださり、お陰で盛況な野外講座となりました。ガイドは静岡市内の観光ガイドをしているNPO法人駿府ウエイブの会員10名が務めました。集合場所は駿府城東御門とシズウエルに分かれましたが、ご案内は駿府城(址)から10のグループに分かれてスタートしました。
 この講座は本来、はつらつとした生きがいづくりを通じての健康づくりを目指して企画をしていますが、大河ドラマ 「青天を衝け」の効果で渋沢栄一と徳川慶喜に関心をもたれる方が多く、徳川幕府崩壊から明治維新の新時代の曙時代の静岡の中心地を巡るウォークとなり、時宜に叶い歴史散歩の目的にも沿ったものとなりました。

2 駿府城天守台址

 駿府城公園には今でも駿府城の規模の大きさや姿を伝えてくれる跡が残されています。中でも、何度となくテレビや新聞などマスコミで報道されたことがある天守台址は参加者皆さんの注目の的でした。特に発掘現場から多数の金箔瓦が発見されたことや、天正期(戦国時代後期)と慶長期(江戸時代初め)の二つの時代の天守台が重なるように発見されたことです。この二つの時代の天守台は、石の形や石垣の積み方にも違いが現れていて現物をご覧になり納得された様子でした。それに参加者は、天守台の面積や高さなどそのスケールの大きさを実感して、トラックやクレーンなどがなかった時代の知恵と労力に驚いておられました。

3 西郷隆盛・山岡鉄舟 会見の史跡

 江戸城無血開城が江戸の薩摩藩邸で西郷隆盛と勝海舟との会談によって実現したことはみなさんご存知でしたが、その5日前に駿府に於いて西郷と山岡の会見が行われ、その時点で徳川慶喜の処遇や江戸城明け渡しなど具体的な条件が話し合われたことは初めて知ったという方が多かったです。
このことだけではありませんが、静岡の人は自然や生活に恵まれていて満ち足りているので、軋轢を避けて敢えて歴史的事実の重要性を主張しようとしない傾向があります。静岡市外の人からは、「静岡人は静岡の重要な歴史的事実を発信することを怠っている。例え矢面に立っても、もっと事実をはっきり主張してほしい」という厳しい声を聞くことが珍しくありません。参加者も同様の感じをもっておられるようでした。

4 御用水・町方用水(江戸時代)

 水は今も昔も最重要である事には変わりがありません。徳川家康公は駿府城を造るに当たり、まず治水事業から始めました。水は人にとって必要欠くべからずものですが、時にはこの水が洪水になって押し寄せる厄介な代物でもあります。静岡の水源は主に安倍川の水ですが制御するための方策が「薩摩土手」と称されている築堤の整備工事でした。駿府城への「御用水」も町人への「町方用水」もその賜物です。水は命を脅かす存在でもありますし命を育む潤いともなります。だからこそ、家康公は治水事業を駿府のまちづくりの基礎に置いたのです。参加者も水の重要さを実感されている様でした。

5 教覚寺

 教覚寺は渋沢栄一とのゆかりが深い寺です。NHK大河ドラマ「青天を衝け」で話題になっている渋沢ですが、この寺の客殿を借りて家族と共に住んでいます。ここでの仕事で有名なのは、「商法会所」が改組された「常平倉」の組織運営・管理でした、ドラマにも出てくるお嬢さんの歌子さんが執筆した『ははその落葉』にも登場しています。
 この地には江戸時代初期、駿府城築城の功績により与えられた松下淨慶の屋敷があり、家康公の死去に伴い淨慶が江戸に転居したあと地を利用して教覚寺は建てられました。教覚寺は浄土真宗のお寺で、休憩室などもあり今でも市民に開放的な雰囲気のいいお寺です。

6 宝台院

 最終目的地に相応しい、参加者に人気のあるお寺でした。その理由は、徳川慶喜公が謹慎の身となり静岡での最初の住居となったことがまず挙げられると思います。当時の慶喜公は、討幕派と旧幕府の両方から命を狙われていて、静岡に来たことは町民にも秘密裏に進められ町ぶれで知らされたのは到着5日後ということです。その後、慶喜公は訪ねてきた渋沢栄一や勝海舟などとここで面会をしました。ほとんどの参加者は、「青天を衝け」で知識としてはありましたが、実際にその地に立つことができて、中には感激する方もおられました。
 宝台院は徳川家康の側室で2代将軍秀忠の生みの親の西郷の局の菩提寺です。西郷の局が家康公の苦難時代を支えた影の立役者だという話をしたところ、参加者はしんみりしておられました。
 駿府城公園及びその周辺は、今後も開発が予定され大きく変貌を遂げることが予想されます。令和5年1月、NHK大河ドラマ「どうする家康」の放映が開始され、ほぼ同じ時期に静岡市歴史博物館もオープン予定です。その他テレビドラマ館などの建設が計画されています。ご期待に応えるものが完成すると思います。

取  材:生きがい特派員  早川 和男(中部地域担当)

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