2022/02/02
早春の花咲く洞慶院とその裏山の参道にある石仏や安倍城跡
コロナ禍にありますが、健康生きがいづくりのために早春の自然のなかへお出かけになってはいかがでしょう。
今回ご案内する洞慶院は、安倍川の支流である藁科川に注いでいる久住谷川を北の方に入った奥まった所に位置しています。三方を山に囲まれていて、日照時間が比較的少なく春の訪れはかなり遅いです。梅園として名高いですが、見ごろは3月になってからの年が多いです。最盛期には出店もあって、かなりの賑わいをみせますが、これからといったところでした。
洞慶院の開基は500年以上前と伝えられていて、60年以上前の記憶ですが、「開山忌」が7月19日・20日の両日に夏祭りの形で盛大に行われ、特に19日の夜は数百メートルもの客の行列ができ、多くの出店の中には「おかんじゃけ」という竹で作った郷土玩具を売っている店もありました。懐かしいです。
洞慶院の梅園には400本ともいわれる梅の木が植えられています。白梅とか紅梅とか言われて、花弁の色は2色に分けられていて、当梅園にも2色が揃っています。一般的に梅干しなど食用にするは白梅を使うそうですが、花を見る限りではそれぞれに彩りと味わいを醸し出してくれます。洞慶院の梅はようやくつぼみを膨らませかけてきていて、咲いている花弁を探すのに苦労する時期です。暖かさが増すにつれ、一輪そして一輪とその数を増やして私たちを楽しませてくれることでしょう。その頃には、梅の木の下で弁当などを広げてくつろぐ人々の姿がみられると思います。
ロウバイの黄色い花は12月終わり頃から咲き始め、2カ月間と長い間楽しむことができます。近くに寄るといい香りがただよいますが、この香りの成分には気持ちを落ち着かせる効果があるそうです。一説には、花が蝋細工のようであることから、つやのある梅のような花という意味でロウバイと称したとも言われます。
お客のほとんどは、満開のロウバイの近くに集まっていました。20台ほど収容できる近くの駐車場はほとんど埋まっていまして、梅の最盛期には別の駐車場も利用することになると思います。12時頃、駐車場近くのソバ屋をのぞいたところ満席でした。
洞慶院は曹洞宗の寺院で、本山は福井県の永平寺です。開山に当たっては、当地を支配していた福島伊賀守が土地を提供し、石上氏が千手観音像を寄進したと伝えられています。
洞慶院の裏山参道には、33躯の石仏が安置されています。石に観音像を彫ったものでして、等間隔ではありませんが、数十メートルの間隔をおいて登山道の脇にあります。西国三十三所観音霊場を巡るには多大の時間と費用がかかり、しかも体力も必要になります。そこで、なかなか実際に出向くのは大変だという人のために、檀家や信徒が協力して裏山の参道に安置したそうです。
安倍城跡は、洞慶院の裏山の先にあり標高435メートルあります。ハイキングコースになっていて、登山道は地元の有志が整備してくれていて歩きやすいです。登山口は洞慶院以外では、慈悲尾の増善寺からや西ヶ谷のごみ焼却場付近などがあります。交通のアクセスも良く適当な標高と道程で、かつ頂上からの眺望もいいです。写真を撮った日はあいにく雲に隠れて富士山は見えませんでしたが、ご覧のように賎機山の東方面に静岡市の中心地が望めますし、天気が良ければ駿河湾から伊豆半島が遠望できます。
この日は、単独行の人も多かったですが家族連れや山仲間のグループの人々などにも数えきれないほど出合いました。中には5・6歳の女の子がご両親に連れられて、もたれるように歩いている姿もあって、ほほえましくなりました。それぞれの山歩きがあると感じました。
取 材:生きがい特派員 早川 和男(中部地域担当)