2021/07/05
コロナ禍で人々に注目されている静岡浅間神社の「夏越の祓(なごしのはらえ)」
1 「夏越のお祓(なごしのはらえ)」とは、6月30日に行われる大祓の神事です。参詣人は写真のように茅の輪(ちのわ)をくぐって、邪神を和ませることによって、日頃の生活でたまった自らの罪や穢れを清めるために行われるとされています。
静岡浅間神社では、この日(6月30日)例年であれば神事が15時から行われるところ、今年は朝9時に実施したとの説明がありました。これは、今年は新型コロナウイルスの影響があり、参詣者の混雑による感染を防止する目的があるようです。既に、神事は終わっていましたが、参詣者の数は多く駐車場はほぼ満車の状態でした。
2 静岡浅間神社では、3カ所茅の輪が設けられていました。なかでも社務所と八千戈神社の間の茅の輪がひときわ大きく、小雨が降る中にもかかわらず写真のように茅の輪の付近では謂われを読んだり、くぐったりする人の姿が続いていました。
「形代(かたしろ)」といわれる、祓にもちいられる紙の人形が用意されていて、これで撫でて禍を除こうとする人の姿もありました。これは陰陽師に端を発していますが、今も「夏越のお祓」に残っています。
3 静岡浅間神社は、神部神社・浅間神社・大歳御祖神社の3本社及び、麓山神社・八代戈神社・少彦名神社・玉鉾神社の4境内社を総称しての名称です。
写真の茅の輪は、主要な駿河国総社の神部神社と富士新宮の浅間神社の楼門の前に設けられています。そこには、「みな月の夏越のお祓する人は 千年の命のぶといふなり」と記されていて、参詣者の多くはそれを読んでからくぐっていました。
4 3カ所目の茅の輪は、大歳御祖神社前にあります。大歳御祖神社は諸産業の繁栄の守護神ともいわれ、昔の「安倍の市」方向、今の静岡市の中心部に向いて造られています。
腰を屈めた年配の女性が茅の輪くぐりをしているところです。この楼門は戦災に遭い再建されたものですが、数人が参拝している拝殿や本殿は戦災をまぬがれた徳川時代後期のもので、徳川家光の指示で建てた約400年前の設計図によって建立されています。
5 6月30日は生憎の小雨模様でしたので、残念ながら出店の前にはお客さんの姿はほとんどありませんでした。夜、出かけた人によりますと、茅の輪の周りには参詣客の姿もあって、出店は営業していたと言っていました。
社務所の神職の方に聞いたところ、「茅の輪は7月4日(日)まで設けられていることになっています」とのことでした。また、「茅は茅葺屋根に使うのと同じですが、刈り取ったばかりの青々したものを使用しているところは違います」とも説明してくれました。
取 材:生きがい特派員 早川 和男(中部地域担当)