2021/03/30

「森町文化再興の会」の活動紹介(森町)

2021年2月14日森町文化再興の会

 

今日(2021年(令和3年)2月14日(日曜日))は、静岡県西部に位置する森町(もりまち)にある宝太寺(森町向天方1128)に来ました。
2006年(平成18年)1月から毎月1回開催されている「森町文化再興の会」を取材するためです。

今日の参加者は11名で、議題は
・伊藤七郎平と信用組合
です。
伊藤七郎平とは、山中3兄弟(新村里助小野江善六)の一人で、報徳運動に尽くした人物です。
林昭光会長(76歳 宝太寺住職 森町文化協会会長)挨拶に続いて、会員の村松達雄様(62歳)が資料を配付し、産業組合や伊藤七郎平について説明を行い、意見交換しました。
会員は30代以上の方が40名ほどで、毎回10数名、参加しておられるようです。


森町文化再興の会会長:林昭光氏

 

なぜ 「森町文化再興の会」なのか?

2021年(令和3年)2月11日(金曜日)林昭光会長と会員の村松達雄様にお話を伺いました。
・森町は、静岡県西部の山間地への玄関口にあたり、江戸時代から秋葉道における宿場町として、
また、物資の集散する古着のまちとして栄えてきました。
明治時代になって、製茶業や林業などでさらに繁栄し、新しい事業に取り組む者も多くいました。
・資金も潤沢で、金持ちも多く、賑わいある街であったようです。
・でも、最近は人口の減少傾向が止まらない状況です。
空き家も多くなり、我々が知らないうちに貴重な文化資料が散逸してしまう危機感がありました。
・そのため、町の文化を渉猟して掘り起こした歴史文化を検証し、広く周知をするとともに、記録として後
世に残すために、ごく私的な集まりとして始めた次第です。
・皆さんに伝えたほうが良い貴重な情報については、森町にて春・秋の年2回開催される「町並みと蔵展」
に話題提起をするとともに、昔、森町尋常高等小学校が作成した「郷土誌」を復刊するなど活動を広
げています。


森中学校で講演する村松達雄氏


2012年8月森町文化会館で開催された文化講演会

 

森町出身の偉人の一人に、発明王・実業家・政治家として有名な鈴木藤三郎(1855年~1913年 享年57歳)がいます。
若い頃、二宮尊徳翁の「報徳思想」に傾倒し、森町にて氷砂糖の製造法を開発し、その後東京に出て活躍、台湾に東洋一の製糖工場を建て、世界に羽ばたいた方です。

「森町文化再興の会」では、2009年(平成21年)頃から鈴木藤三郎に関する情報の掘り起こしを行い、会員知識を共有しました。
主な経歴と報徳とのかかわり、そして、偉業の数々についてです。
同年秋、「発明王 鈴木藤三郎を生んだ町」をテーマとして第9回「町並みと蔵展」が開催され、会員による講演会が開催されました。また、2011年(平成23年)1月に森中学校にて、「日本産業革命の父 鈴木藤三郎」というタイトルで、中学生対象に会員が講演を行い、若い方々へ啓発を行いました。
一方、2012年(平成24年)8月5日(日)には、森町文化会館にて開催された森町文化講演会にて、「近代日本の産業の先駆者 鈴木藤三郎」というタイトルで森町教育委員会主催で開催されましたが、森町文化再興の会のメンバーも参加し、森町民への啓発をお手伝いしました。


森町文化会館で開催された文化講演会のチラシ

 

森町の隣町、袋井市に浅羽北コミュニケーションセンター(当時浅羽北公民館)があります。
ここでは毎年12月報徳講座を開催していました。
報徳思想という観点から鈴木藤三郎に関し、下記のような公開講座を行い、森町文化再興の会のメンバーやその関連の方が、講演を行い、袋井市民に鈴木藤三郎に関して啓発を行いました。
・2014年(平成26年)12月
「遠州の人 鈴木藤三郎」
講演:森町文化再興の会:村松達雄氏
・2015年(平成27年)12月
「報徳社徒 鈴木藤三郎米欧旅行日誌」
講演:二宮尊徳の会:地福進一氏
・2016年(平成28年)12月
「報徳社徒と鈴木藤三郎」
講演;二宮尊徳の会:地福進一氏


第21回「伊豆文学賞」優秀作品賞の表紙

 

会員の一人に、現在浜松市在住の松本茂様(70歳)がおられます。
松本茂様は父親が森町出身で、森町出身の小説家中村真一郎を調べているうち、森町文化再興の会があることを知り、6年ほど前に入会・参加するようになりました。
会で森町の歴史に触れるうちに、ヒントを得て、徳川家康から駿遠両国鋳物師惣大工職の御朱印をもらった山田七郎左衛門に興味を持ち、2017年(平成29年)に小説「鋳物師七郎左衛門」(いもじしちろうざえもん)として完成させました。
この小説は第21回「伊豆文学賞」で、最優秀賞を受賞しました。

本小説の主人公は1863年森町で鋳物師山田七郎左衛門家の長男として生まれた山田信介。
明治時代のにぎやかな森町を背景に、山田信介がドイツへ留学し、帰国後、鈴木藤三郎や福川泉吾(当時の実業家・資産家)の支援を得て活躍する姿が活写されています。
松本茂様は次のように述べられています。
「森町には歴史があります。
森町文化再興の会にはその歴史に非常に詳しい方がおられます。
勉強になります。
今、2人から3人、興味のある人物があり、更に調べて小説等にまとめてみたいと思います。」
*松本茂著「鋳物師七郎左衛門」(いもじしちろうざえもん)は、「第21回伊豆文学賞優秀作品集に収
納されています。


町内史跡を視察する森町文化再興の会メンバー

 

2021年(令和3年)2月14日(日曜日)の会に参加されていたHさんに、お話を聞きました。
「私は入会したのは5年ほど前です。観光ボランティアをしていますが、森町のことを何も知らないことに気づき、ある人の紹介で、参加させていただきました。メンバーの方々、森町について、非常に皆さん物知りで、毎回が勉強になります。」

林昭光会長は、今後森町文化再興の会として取り組みたいことの一つとして、「磐田市で、小林佳弘さんが発刊している地域情報誌「NEOぱんぷきん」があります。
40年間継続しているのですが、この雑誌の森町に関する部分のみを冊子にまとめて、情報発信をしたいと思います。」を挙げられています。

私も袋井市のお寺を取材中に、「古文書が多くあるのですが、何が書かれているのか、さっぱりわからない。どなたか読んで説明いただける人はいませんか?」と尋ねられたことがあります。

歴史を背負った地域の文化は、我々の周りに多くあるのではないでしようか。地域の文化を理解し、守り、継承していく。人口減少時代を迎えて、上記の姿勢は全国どの地域でも必要で、かつ地域住民の使命ではないかと思います。

このような活動を14年間も続けておられる「森町文化再興の会」の先進性と活動をリスペクトし、今後の継続と発展を祈念したいと思います。

2021年(令和3年)3月
取材:磐田・周智地区担当 生きがい特派員 戸田孝
(携帯電話番号=090-4861ー9206)

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